日本でコンビニエンスストアやファミリーレストランが24時間営業を開始したのは、1970年代のことです。しかし、少子高齢化が進み人手不足が深刻化する中で、近年営業体系の見直しが進んでいます。
その傾向はCovid-19によってさらに顕著になりました。度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令により、外出自粛が推奨され24時間お店を開けておくことが出来なくなったためです。その後、パンデミック自体は一定の終息を見せ、感染法上も5類にまで移行され、飲食店を中心に夜間の営業が再開されるようになりましたが、深夜・早朝までオープンしているお店は3年前と比較して少なくなった印象を受けます。日本の労働人口が今後減少していくことが見込まれており、働き方改革も推進されていく中、深夜という時間に人員を割く必要がある24時間営業が果たして本当に合理的なものであるか経営者側としては疑問を抱いているのです。
そこで注目されるようになったのが、無人化・省人化です。そもそも24時間営業は売上高を増やす目的で実施されており、そこに必ずしも人間が必要であるとは限りません。むしろ、人件費の観点でいうと無人店舗のほうが金銭的コストをおさえることができます。ではなぜ、無人店舗化による24時間営業は思ったほど進んでいないのでしょうか?
その答えは、無人店舗運営に多くの異なる技術が必要なことにあります。例えば、無人の個室サウナでは予約サイトを作成・運用し、非対面での検温や入退室への対応を行う必要があるため、人を雇えば事足りる有人店舗の場合よりも開業準備に時間がかかり、不測の事態への対応も大変になります。加えて、サービスを提供する多くの企業は、その技術全てを1社で備えているわけではありません。そうなると、予約はA社、決済はB社といった形で複数の会社と連携して運営を行うことになり、オーナー側の手間が増えてしまいます。本来、部屋の清掃や備品の準備、室内温度や水温の管理といったコアサービスに時間をかけるべきであるにも関わらず、直接本業と関係のない作業に時間を取られてしまうことになるのです。そういった懸念が結果的に、無人店舗化が進まない要因になっているのが現状です。
HOUSEIはこの課題へのアプローチとして、顔認証技術と予約管理システム、決済システム、監視システムなどを連携させた無人店舗ソリューションを提案しています。
これらの技術は単体では決して目新しいものではなく、現代においてあらゆる場面で導入が進んでいます。しかし、異なる技術を結び付けて、無人店舗運営というDX化の象徴とも言える取り組みを実現している企業は実はそこまで多くありません。そういった点でAIとIT技術を活用したHOUSEIのWelcomID無人店舗は、時代に即したサービスであると言えます。WelcomID無人店舗の主な特徴は以下のようになります。
顔認証システムと会員・予約システムの連携
事前に顔写真を登録・設定しておくことで検温・顔認証と同時にドアの開閉が可能です。顔認証はマスク着用時、両手が荷物でふさがっているなど様々なシチュエーションでも機能するため、無人かつスピーディーな入退室を可能にします。さらに、予約システムとも連携することで予約時間以外の開錠を防ぐことができ、セキュリティ対策としても大きな成果が期待されます。
ワンストップでの提供が可能
顔認証システムはもちろんのこと、予約システム、決済システム、監視システムなど、無人店舗運営において必須の技術をすべて一社で提供できるため、導入にかかる時間や費用を抑えることができます。また、起ち上げの際も詳細設定などシステム関連の複雑な作業は、HOUSEI社員が担当します。アフターサービスに関しても基本的に対面もしくはオンラインで顔を見てのコミュニケーションを心掛けているため、何かトラブルがあった際に迅速な対応が可能であり、オーナー側の作業負担を減らすことが可能です。目指す店舗の形態が24時間無人店舗といいながらも、オーナーや運営者に対してはハートフルなサービス提供が特徴です。
データ管理によるバックオフィス従事
顔認証データと予約時の入力データをもとに、詳細な顧客データを収集できるため、利用時間や利用者の特性などマーケティングに役立てることができます。例えば、固定客のスマートフォンにデジタルクーポンを発行したり、自社のSNSに誘導してアンケートに答えてもらったりといった活用方法が考えられます。また、フロントでの対応などの作業が不要になるため、清掃や品出しなど人手が必要な業務のみに集中でき、仕事の効率化とサービスの向上が見込めます。
以上のWelcomIDの3つの特性は、人間がバックオフィスに集中できる環境を作ることにフォーカスを当てています。すなわち、「人間の力を必要としない」という文脈の無人店舗を実現するためではなく、「お客様に最高級のサービスを提供する」という目的に沿った無人店舗であってほしいという思いが込められているのです。
また、これは副次的な効果ですがプライバシーの向上という意味でも顔認証が役に立っています。従来、顔認証といえば顔写真が名前や生年月日といった個人情報と紐づけられ、どこにいても個人を特定されるといった監視社会の象徴と考えられていました。そのため、プライバシー保護の観点からは忌避されるのが一般的でした。しかし、顔認証はあくまで顔の特徴量を比較しているだけです。異なる時と場所で撮影された顔画像から抽出した特徴量がどれぐらい似ているかを計算しているに過ぎません。誰であるかを判断したり、その記録を残すかどうかは後続システムの作り方次第です。誰と顔を合わせることなく利用できる無人店舗サウナでは、顔認証によって高度なプライバシーを確保できる空間を生み出せました。プライバシーを高めるには顔認証無人店舗ソリューションは最適だったということです。
HOUSEIのWelcomID顔認証端末はこちら、WelcomID無人店舗はこちらです。
次回のコラムでは、今回の話を踏まえた上で実際に顔認証を利用した無人店舗がどのように運営されているのか、具体的なケースを挙げつつ解説していきたいと思います。
顔認証コラム一覧
【Vol.1】顔認証技術がアフターコロナの時代にもたらすDX化
【Vol.2】無人店舗が人間の価値を高める!?
【Vol.3】顔認証決済実現に向けて
【Vol.4】顔認証付きアルコールチェッカーが運送業で「今」必要なワケ